7月12日の夕方、ギターの蓮見芳男が逝った。
早かった。あっという間だった。寂しい。何とも言えず、寂しい。
蓮見芳男とSWING TIMESの出会いは、20年ほど前だという。
以前に「ギタ-、蓮見芳男!」にも書いたが、トランペットの故福原 彰の紹介だったという。
リーダーの鈴木正男は、スタジオでよく見ていて顔は知っていたがジャズをやるとは思わなかったらしい。
ところがいざ聴いてみると、こんなに地味で大人っぽいギターはそういないだろう、と一辺に気に入ってしまった。
そこで「一緒にやりませんか!」と誘って、メンバーになったという。以来ほぼ20年。ライブにも、コンサートにも、イベントにもほとんど休まずに参加していた。私が知っている限りでも、一昨年の手術以前に休んだという憶えはない。

先月6月29日の南青山MANDALAでの定例ライブには来られなかった。だから最後の演奏は4月26日のライブだった。
リーダーの鈴木正男もヴォーカルの長田明子も、異口同音に言っていた。
「やはり蓮見さんのギターが無いと分かるね。何かが足りない。音の厚みと言うか、深みと言うか━」
とくに長田明子のヴォーカルのコーナーになると、蓮見芳男のギターの渋さが光ってくる。時々、ピアノの大橋高志と交代で付けるイントロ、それに間に入れるソロ‥まさに絶品だった。
思わず頷いて口元をほころばせてしまう、絶妙な味わいがある。
長田明子も━
「蓮見さんのギターは地味だけど温かくって、そうまさに滋味があって音楽が深いわね。いてくれると安心して歌える‥」という。
蓮見芳男がジャズの世界に入ったのは高校生の時だという。
昭和25~6年のことである。戦後の日本のジャズの成長とともに、まさに身体で覚えたジャズである。
つまり勉強だけではなく、呼吸として身につけたジャズだから言葉にして伝えにくい、絶妙な音楽のニュアンスの違いを会得している。
そのいい例が前にやはり「ギタリスト、蓮見芳男!」でも書いたが、2ビートについて話してくれたときである。
「2ビートをちゃんと打てる人はなかなかいない。とくにベースが難しい‥」と言っていた。
どういうことかをちゃんと聞こうと思っていてそれきりになってしまった。残念だ。残念至極である。
昨年の秋だったか、電話があった。
「ハンチングを買おうと思ってるんだけど、オレ頭が小さいから合うのがなかなかないんだよ。ウラさん帽子に詳しいから、いいのを見繕って買っておいてくないか!」
あれは抗がん剤で髪の毛がなくなってきているのをカバーしようとしていたのだと、その時は気がつかなかった。
私がもたもたしているうちに、自分で探してきたらしい。10月のライブの時には白いハンチングを被っていた。
何でさっさと探しに行ってあげなかったんだろう!そんなことばかりが頭に浮かんで悔やまれてならない。


鈴木正男 & SWING TIMESには、蓮見芳男のギターは無くてはならない存在だった。
次回の8月29日の南青山MANDALAライブには、蓮見芳男のギターはもう聴かれない。
11月3日の25周年記念のコンサートも、一緒に楽しんでほしかったのだが━
蓮見さん!
鈴木正男 & SWING TIMESメンバー一同、永い事一緒にプレイできたことを誇りに思っています。
蓮見さんのプレイの一つ一つ、何かにつけて想い出すことでしょう。
永い事、いろいろとありがとうございました。
ゆっくりと、ゆっくりとお休みください。
ホントに、いいプレイでした。
(合掌)
※敬称は略させていただいています。
※上の写真
●昨年10月7日の南青山MANDALAでのライブ時の蓮見さん。
※中の写真
●今年4月26日、蓮見さんのラストになった南青山MANDALAでのライブ。
※下の写真
●その時のプログラム
早かった。あっという間だった。寂しい。何とも言えず、寂しい。
蓮見芳男とSWING TIMESの出会いは、20年ほど前だという。
以前に「ギタ-、蓮見芳男!」にも書いたが、トランペットの故福原 彰の紹介だったという。
リーダーの鈴木正男は、スタジオでよく見ていて顔は知っていたがジャズをやるとは思わなかったらしい。
ところがいざ聴いてみると、こんなに地味で大人っぽいギターはそういないだろう、と一辺に気に入ってしまった。
そこで「一緒にやりませんか!」と誘って、メンバーになったという。以来ほぼ20年。ライブにも、コンサートにも、イベントにもほとんど休まずに参加していた。私が知っている限りでも、一昨年の手術以前に休んだという憶えはない。

先月6月29日の南青山MANDALAでの定例ライブには来られなかった。だから最後の演奏は4月26日のライブだった。
リーダーの鈴木正男もヴォーカルの長田明子も、異口同音に言っていた。
「やはり蓮見さんのギターが無いと分かるね。何かが足りない。音の厚みと言うか、深みと言うか━」
とくに長田明子のヴォーカルのコーナーになると、蓮見芳男のギターの渋さが光ってくる。時々、ピアノの大橋高志と交代で付けるイントロ、それに間に入れるソロ‥まさに絶品だった。
思わず頷いて口元をほころばせてしまう、絶妙な味わいがある。
長田明子も━
「蓮見さんのギターは地味だけど温かくって、そうまさに滋味があって音楽が深いわね。いてくれると安心して歌える‥」という。
蓮見芳男がジャズの世界に入ったのは高校生の時だという。
昭和25~6年のことである。戦後の日本のジャズの成長とともに、まさに身体で覚えたジャズである。
つまり勉強だけではなく、呼吸として身につけたジャズだから言葉にして伝えにくい、絶妙な音楽のニュアンスの違いを会得している。
そのいい例が前にやはり「ギタリスト、蓮見芳男!」でも書いたが、2ビートについて話してくれたときである。
「2ビートをちゃんと打てる人はなかなかいない。とくにベースが難しい‥」と言っていた。
どういうことかをちゃんと聞こうと思っていてそれきりになってしまった。残念だ。残念至極である。
昨年の秋だったか、電話があった。
「ハンチングを買おうと思ってるんだけど、オレ頭が小さいから合うのがなかなかないんだよ。ウラさん帽子に詳しいから、いいのを見繕って買っておいてくないか!」
あれは抗がん剤で髪の毛がなくなってきているのをカバーしようとしていたのだと、その時は気がつかなかった。
私がもたもたしているうちに、自分で探してきたらしい。10月のライブの時には白いハンチングを被っていた。
何でさっさと探しに行ってあげなかったんだろう!そんなことばかりが頭に浮かんで悔やまれてならない。


鈴木正男 & SWING TIMESには、蓮見芳男のギターは無くてはならない存在だった。
次回の8月29日の南青山MANDALAライブには、蓮見芳男のギターはもう聴かれない。
11月3日の25周年記念のコンサートも、一緒に楽しんでほしかったのだが━
蓮見さん!
鈴木正男 & SWING TIMESメンバー一同、永い事一緒にプレイできたことを誇りに思っています。
蓮見さんのプレイの一つ一つ、何かにつけて想い出すことでしょう。
永い事、いろいろとありがとうございました。
ゆっくりと、ゆっくりとお休みください。
ホントに、いいプレイでした。
(合掌)
※敬称は略させていただいています。
※上の写真
●昨年10月7日の南青山MANDALAでのライブ時の蓮見さん。
※中の写真
●今年4月26日、蓮見さんのラストになった南青山MANDALAでのライブ。
※下の写真
●その時のプログラム
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まだ真夏というにはちょと早いが、それにしても6月29日(水)は暑かった。
何処へ行っても節電で夜になっても汗が噴き出し、何だか50年程前にでも戻ったような気がした。
こんなどうしようもなく暑い日には、ジャズが良く似合う。
映画「真夏の夜のジャズ」(原題「Jazz On A Summer’s Day」1958年第5回ニューポート・ジャズフェスティバルの記録映画。日本公開1960年)を想い出す━
あの頃はモダン・ジャズ(この言い方そのものが懐かしい)全盛で、夏はやたら暑かったような気が擦る。それに皆の頭の中も単純で分かりやすく、面白かった。
そうだ、ジャズはこうして楽しむんだよ!と教えてもらったような映画だった。

そんなこんなを思いながら地下鉄銀座線を外苑前で降り、汗をかきかき、「鈴木正男 & SWING TIMES」のライブに、南青山MANDALAへ急いでいた。
と言うのは所要があって、ライブの開演には間に合わなかったのだ。今行くと、1セット目のラストの曲に間に合うくらいだ。
狭い螺旋階段を下りていくと、「In A Sentimental Mood」が流れてくる。
このアルトは鈴木孝二に違いない。頭から聴きたかったな‥いつ聴いてものびのあるしなやかな音は、特にこの「In A Sentimental Mood」でのレイジーな雰囲気は堪らない。
そうだ、余談だがレイジーなで想い出したが、昔のイタリア映画の「激しい季節」(英語タイトル「Violent Summer」監督ヴァレリオ・ズルリーニ、出演エレオノラ・ロッシ=ドラゴ、ジャクリーヌ・ササ―ル 1959年)のアルトで吹くテーマは良かった。
真夏の暑さと気だるさを帯びた‥なんと言う曲だか忘れてしまった。今度調べてみよう。
あんな曲を吹いてもらいたい‥鈴木孝二に相談してみよう。
そして1セットのラストが、ベニー・グッドマンスタイルの「ハロー・ドーリー」。
そういえば以前に、リーダー(鈴木正男)に渡したベニー・グッドマンのCD資料の中に入っていて、先日会った時(楽譜をを)書いたという話をしていた。そうか、これかと合点がいった。
なかなかの出来栄えであった。
1set
1 Let’ Dance
2 Jersey Bounce
3 Muskrat Rumble
4 When You’re Smiling
5 Sometimes I’m Happy
6 Wrap Your Troubles In Dreams (vo)
7 I Had To Be You (vo)
8 My Heart Belongs To Daddy (vo)
9 You Turned The Tables On Me (vo)
10 In A Sentimental Mood
11 Hello Dolly
2set
1 Send In The Crown
2 Tuxedo Junction
3 American Patrol
4 I Know Why
5 Moonlight Serenade
6 In The Mood
7 On A Slow Boat To China (vo)
8 All This And Heaven Too (vo)
9 Come Rain Or Come Shine (vo)
10 Roll ‘Em
11 Sleepy Lagoon
12 Festival And Children
Encore Take The “A” Train
ベニー・グッドマン楽団でのアレンジと言えば、フレッチャー・ヘンダーソンが知られているが、他にもいい曲をいろいろと書いている。
例えばフレッチャー・ヘンダーソンの弟のホーレス・ヘンダーソンの「ビッグ・ジョン・スペシャル」、メアリー・ルー・ウィリアムズの「ロール・エム」、さらにハリー・ジェームスの「ペッキン」もそうだ。

もちろん、全てSWING TIMESの十八番だが、この日、そのメアリー・ルー・ウィリアムズの「ロール・エム」をやった。
馬鹿暑い夜は、火を噴くようなさらにホットなブギ・ウギでノリ倒せ!とばかりにまさに全員ノリまくった。
特にこういうスタイルになると、大橋高志のピアノが一段と冴える。もともと左手のストライド奏法が得意なだけに見事だった。
ますます熱くなってしまった。快感だった。これを聴けただけでも価値があった。
メンバー
<トランぺット>鈴木正晃、岸 義和、菊地成浩、城谷雄策
<トロンボーン>吉池健二郎、内田光昭、小林 稔
<サックス>鈴木孝二、鈴木直樹、田辺信男、唐木洋介、大堀 博
<ピアノ>大橋高志、<ベース>ジャンボ小野、<ドラムス>八木秀樹

この日は11月3日(祝)に行われる『SWING TIMES 25th Anniversary』コンサートの案内もされた。
今回は渋谷の「東京メインダイニング」というビッグ・バンド演奏もできるシャレたレストランで行われる。期待したい。
料金は全席\10,000(夕食ブッフェスタイル・フリードリンク)
チケットのお申し込み・お問合せは━
長田:03-3426-3890 鈴木:042-371-3121
※敬称は略させていただいています。
何処へ行っても節電で夜になっても汗が噴き出し、何だか50年程前にでも戻ったような気がした。
こんなどうしようもなく暑い日には、ジャズが良く似合う。
映画「真夏の夜のジャズ」(原題「Jazz On A Summer’s Day」1958年第5回ニューポート・ジャズフェスティバルの記録映画。日本公開1960年)を想い出す━
あの頃はモダン・ジャズ(この言い方そのものが懐かしい)全盛で、夏はやたら暑かったような気が擦る。それに皆の頭の中も単純で分かりやすく、面白かった。
そうだ、ジャズはこうして楽しむんだよ!と教えてもらったような映画だった。

そんなこんなを思いながら地下鉄銀座線を外苑前で降り、汗をかきかき、「鈴木正男 & SWING TIMES」のライブに、南青山MANDALAへ急いでいた。
と言うのは所要があって、ライブの開演には間に合わなかったのだ。今行くと、1セット目のラストの曲に間に合うくらいだ。
狭い螺旋階段を下りていくと、「In A Sentimental Mood」が流れてくる。
このアルトは鈴木孝二に違いない。頭から聴きたかったな‥いつ聴いてものびのあるしなやかな音は、特にこの「In A Sentimental Mood」でのレイジーな雰囲気は堪らない。
そうだ、余談だがレイジーなで想い出したが、昔のイタリア映画の「激しい季節」(英語タイトル「Violent Summer」監督ヴァレリオ・ズルリーニ、出演エレオノラ・ロッシ=ドラゴ、ジャクリーヌ・ササ―ル 1959年)のアルトで吹くテーマは良かった。
真夏の暑さと気だるさを帯びた‥なんと言う曲だか忘れてしまった。今度調べてみよう。
あんな曲を吹いてもらいたい‥鈴木孝二に相談してみよう。
そして1セットのラストが、ベニー・グッドマンスタイルの「ハロー・ドーリー」。
そういえば以前に、リーダー(鈴木正男)に渡したベニー・グッドマンのCD資料の中に入っていて、先日会った時(楽譜をを)書いたという話をしていた。そうか、これかと合点がいった。
なかなかの出来栄えであった。
1set
1 Let’ Dance
2 Jersey Bounce
3 Muskrat Rumble
4 When You’re Smiling
5 Sometimes I’m Happy
6 Wrap Your Troubles In Dreams (vo)
7 I Had To Be You (vo)
8 My Heart Belongs To Daddy (vo)
9 You Turned The Tables On Me (vo)
10 In A Sentimental Mood
11 Hello Dolly
2set
1 Send In The Crown
2 Tuxedo Junction
3 American Patrol
4 I Know Why
5 Moonlight Serenade
6 In The Mood
7 On A Slow Boat To China (vo)
8 All This And Heaven Too (vo)
9 Come Rain Or Come Shine (vo)
10 Roll ‘Em
11 Sleepy Lagoon
12 Festival And Children
Encore Take The “A” Train
ベニー・グッドマン楽団でのアレンジと言えば、フレッチャー・ヘンダーソンが知られているが、他にもいい曲をいろいろと書いている。
例えばフレッチャー・ヘンダーソンの弟のホーレス・ヘンダーソンの「ビッグ・ジョン・スペシャル」、メアリー・ルー・ウィリアムズの「ロール・エム」、さらにハリー・ジェームスの「ペッキン」もそうだ。

もちろん、全てSWING TIMESの十八番だが、この日、そのメアリー・ルー・ウィリアムズの「ロール・エム」をやった。
馬鹿暑い夜は、火を噴くようなさらにホットなブギ・ウギでノリ倒せ!とばかりにまさに全員ノリまくった。
特にこういうスタイルになると、大橋高志のピアノが一段と冴える。もともと左手のストライド奏法が得意なだけに見事だった。
ますます熱くなってしまった。快感だった。これを聴けただけでも価値があった。
メンバー
<トランぺット>鈴木正晃、岸 義和、菊地成浩、城谷雄策
<トロンボーン>吉池健二郎、内田光昭、小林 稔
<サックス>鈴木孝二、鈴木直樹、田辺信男、唐木洋介、大堀 博
<ピアノ>大橋高志、<ベース>ジャンボ小野、<ドラムス>八木秀樹

この日は11月3日(祝)に行われる『SWING TIMES 25th Anniversary』コンサートの案内もされた。
今回は渋谷の「東京メインダイニング」というビッグ・バンド演奏もできるシャレたレストランで行われる。期待したい。
料金は全席\10,000(夕食ブッフェスタイル・フリードリンク)
チケットのお申し込み・お問合せは━
長田:03-3426-3890 鈴木:042-371-3121
※敬称は略させていただいています。
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