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アコースティックで、ハッピーなSwingのオーケストラ「鈴木正男& SWING TIMES」のブログ。頭の奥に、心の裏側に、身体の隅々まで届く軽い音楽のメッセージ。2011年には25周年を迎えます。
歳をとるのも満更悪くない‥と時々思うことがある。
文章や絵画、あるいは映画や音楽などしみじみといいな、と思えることにふと気がついた時など、ついほくそえんでしまう。

ずい分前になるが、夜の10時ごろ、仕事の合間に一休みしようと2~3日前に預かった長田明子の『A TIME FOR LOVE』のテスト盤を聴き始めた。が、すぐにCDを止め、仕事の途中だったコンピュータを落とし、ソファのクッションを整え、グラスを用意して改めて聴き始めた。

ミディアム・テムポのエディ・ヒギンズ(pf)のイントロ(4小節)につづいて、抑えぎみに歌う長田明子のスイング感が快い。
リチャード・ロジャース(曲)とロレンツ・ハート(詞)の名曲「Where Or When」。このナンバーに妙な媚やシナはいらない。真っ直ぐにこのメロディの美しさを‥彼女ならではの良さがこのナンバーに凝縮されているような気がする。
タイトルは次の「A Time For Love」になってはいるが、この「Where Or When」でもいいのではと思わせるオープニング・ナンバーである。
(それにしてもエディ・ヒギンズのピアノ、いいなぁ!)

『A TIME FOR LOVE=EDDIE HIGGINS TRIO with AKIKO OSADA 2』。
長田明子が名ピアニスト エディ・ヒギンズと共にレコーディングした3枚のCDのうちの2枚目(2002年)である。他の2枚『MY ROMANCE』(2001年)と『WINTER MOON』(2006年)は昨年紹介した。
メンバーはエディ・ヒギンズトリオ(ベース ジェイ・レオンハート、ドラムス ジョー・アシオーネ=『MY ROMANCE』にも参加)に、ベテランのトランペット ドン・シックラーと、SWING TIMESのリーダー鈴木正男のクラリネットが何曲かづつ参加している。
A TIME FOR LOVE

このトランペットのドン・シックラーがいい。
「Cry Me A River」の自然な吹き回しが聴いてるものの感情に沿ってうっすらと色づき、聴き入ってしまった。長田明子の歌もやはり妙な雰囲気を出さない歌い方が、むしろ官能的でさえある。
「Willow Weep For Me」にも同じことが言えて、とてもいいコンビネーションである。

「Memories Of You」は、永年一緒にやっている鈴木正男のクラリネットが、やはり余計な音は使わないシンプルさが、長田の歌と共に情感の豊かさを伝えてくる。
永年二人の演奏に立会い聴いているが、やはりこんなしっくりとくる演奏は無かったと思う。と言うくらい良い。
「As Long As Live」にも鈴木正男のクラリネットが加わっているが、こちらも飾り気の無いスイング感が心地いい。

もう一つ特筆しておくと、ファッツ・ウォーラーの「Ain’t Miss Behavin’」(ドン・シックラー参加)。こういう軽妙なナンバーはいいなぁ。長田明子の得意とする世界だろう。
それから先ほどの「Where Or When」について書いていてふと、リチャード・ロジャースとロレンツ・ハートのコンビのナンバーをもっと聴いてみたいと思った。「Blue Moon」、「My Funny Valentine」、「Bewitched」‥他に何を歌っていただろう‥「I Didn’t Know What Time It Was」なんてどうだろう‥

2009年8月31日。エディ・ヒギンズはまるで伝道者のように、我々にジャズの大きな包容力を、安らぎを、そして楽しむ術を教えてくれたような気がする。たくさんのCDを残して━
そんな中の3枚が、昨年から紹介してきた長田明子とのものである。我々は身近なミュージシャン、長田明子を通して、彼の音楽の楽しみのさらなる大きさを知った。
できれば長田明子との作品も、望むべくも無いがもっと残しておいて欲しかった。長田明子のもっと違った世界が楽しめたかもしれない。
エディ・ヒギンズもライナー・ノーツの中で言っている━
『私の50年以上のキャリアの中で、ビリー・ホリディ、アニタ・オディ、ジャック・ティーガーデン、ジョー・ウィリアム、ジョニー・ハートマン、メル・トーメ、アーネスティナ・アンダーソンといった多くの偉大なるジャズ・シンガーと一緒に仕事ができると言う、楽しみがありました。
いつからか、その素晴らしいシンガーと一緒にプレイさせて貰うことが、私の楽しみのひとつになりました。
アキコ・オサダと2回目の録音でもある今回のCDで、まさにその「楽しみ」がひとつ増えたようです。(後略)』(『A TIME FOR LOVE』ライナー・ノーツより)

長田明子の歌を通して、しみじみとした味わいの楽しみを教えてくれた偉大なピアニスト、 エディ・ヒギンズに感謝したい。

『A TIME FOR LOVE=EDDIE HIGGINS TRIO with AKIKO OSADA 2』
01 Where Or When
02 A Time For Love
03 Cry Me A River
04 Memories Of You
05 The Shining Sea
06 Willow Weep For Me
07 Between The Devil And The Deep Blue Sea
08 The Man I Love
09 As Long As I ve
10 I Wish You Love
11 Ain’t Misbehavin’
12 Stairway To Stars
13 Dream A Little Dream Of Me
14 A Child Is Born

メンバー
長田明子 (vo)
Eddie Higgins (pf)
Jay Leonhart (b)
Joe Ascione (ds)
Don Sickler (tp)
鈴木正男 (cla)

※エディ・ヒギンズとの長田明子のCD、第一作目『MY ROMANCE』、第二作目『A TIME FOR LOVE』、第三作目『WINTER MOON』ともに、多少在庫があるそうです。
このブログにてお問合せ、あるいはお申し込みいただければ手配をいたします。
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【2011/01/26 16:16】 | CD紹介
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2011年.新年明けましておめでとうございます。

今年はベニー・グッドマンが没して25年。と言うことは、「鈴木正男 & SWING TIMES」が結成されてから25年。やはり記念すべき年でもある。そしてその記念すべきコンサート・ライブも企画している。
今年一年大いにswingし、沢山の皆さんに楽しんでいただけるよう頑張たいと思う。とはいえ十年一日、いや二十五年一日のごとし変わることなくswingの楽しさを追いかけているのだが‥
不思議なものでこの二十五年間、ライブやコンサートを合わせて何百回となくやってきているのにも関わらず、ここへきてさらに新しいナンバーを手掛けるなど、むしろswingの面白さが広がっているように思う。

そんな節目の年を迎えて、鈴木正男、長田明子をはじめメンバー一同張りきると同時に、この一年を大いに楽しみにしている。
皆さんの応援を心からお願い申し上げます。
鈴木正男& SWING TIMES

さて昨年を締めくくる年末恒例の『鈴木正男 & SWING TIMES “Count Down Party”』(南青山MANDALA)を、今年のお話し第1号にしようと思う。

いつものことながら大晦日のカウント・ダウンはお店は21時に開場、演奏開始は22時から。新年の0:00を挟んで3ステージの長丁場。にも関わらず店内はswingファンでいっぱい。
さすがに25年もやっていると、“SWINGに暮れ、SWINGに明け”のキャッチフレーズのごとくswingを楽しみながら新年を迎え、その足で近くの明治神宮に初詣をという善男善女も増えたのかも知れない。

オープニングの「Let’s Dance」もいつもよりテムポも少し速くエキサイトしていた。
次の「Don’t Be That Way」から「A String Of Pearls」へ。「A String Of Pearls」=真珠の首飾り=というとまずグレン・ミラーを思い起すだろうが、ベニー・グッドマンの「A String Of Pearls 」はよくswingしていて楽しい。この日のSWING TIMESのメンバーも良くノッていて、どの曲も実に聴きごたえあった。

一段と艶やかな長田明子の1曲目の「Alone Together」は、如何にも彼女らしいノリとのびのある声で楽しめた。
この曲での間奏で珍しくアルトの鈴木孝二が素晴らしいソロを聴かせてくれた。この日、鈴木孝二は久し振りに「In A Sentimental Mood」も聴かせてくれた。ベテランの味、いいもんだ。
2011年1月1日0時00分

第二部は新年を迎える前の、メンバーによるコンボでの演奏が「鈴懸の径」(鈴木正男 & 鈴木直樹)、「ハニー・サックルローズ」(大橋高志トリオ)、「ハーレムノクターン」(田辺信男)などの後、お馴染み「蛍の光」が静かに流れる中━
2011年1月1日0:00の時報と同時に客席からの祝福のクラッカー。とともに「When The Saints Go Marchin’ In」の演奏と手拍子の中、新しい年が始まった。
メンバーによるコンボでの各演奏は素晴らしかった。この日のお客さんはお年玉をもらったような気分になったに違いない。
特にピアノの大橋高志・ベース古里純一・ドラムス山下暢彦トリオの「Honey Suckle Rose」は秀逸だった。

第三部はグレン・ミラーをはじめ、ガーシュインやトミー・ドーシー、ハリー・ジェームス、さらに鈴木章治のお馴染みのナンバーで大いに盛り上がり、最後のアンコールは「When Your Smiling」で締めくくった。
長田明子の「Tennessee Waltz」、「As Time Goes By」、特に「It’s Only A Paper Moon」は良かった。

今年は25周年のイベントを11月に予定している。
是非一緒に大いにswingしようではありませんか。
今年もどうぞ、くれぐれもよろしくお願い申し上げます。
次回のライブは2月28日(月)南青山MANDALAである。

第1部
1) Let’s Dance
2) Don’t Be That Way
3) A String Of Pearls
4) Anything For You
5) Sugar Foot Stomp
6) Alone Together (vo)
7) You Are Too Beautiful (vo)
8) I Let A Song Go Out Of My Heart (vo)
9) In A Sentimental Mood
10) Pic=A=Rib

第2部
Combo ~蛍の光~
1) When The Saints Go Marchin’ In
2) Swing Into Spring
3) On A Clear Day
4) Sometimes I’m Happy
5) Roll 'Em

第3部
1) Rhapsody In Blue
2)St. Louis Blues March
3) Moonlight Serenade
4) In The Mood
5) Tennessee Waltz (vo)
6) As Time Goes By (vo)
7) It’s Only A paper Moon (vo)
8) Well Get It
9) Sleepy Lagoon
10) Festival And Children
11) When Your Smiling

メンバー
<トランぺット>鈴木正晃、岸 義和、富田なおと、牧原正洋
<トロンボーン>小林 稔、内田光昭、吉池健二郎
<サックス>鈴木孝二、鈴木直樹、田辺信男、唐木洋介、大堀 博
<ピアノ>大橋高志、<ベース>古里純一、<ドラムス>山下暢彦

【2011/01/03 15:31】 | 未分類
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