アコースティックで、ハッピーなSwingのオーケストラ「鈴木正男& SWING TIMES」のブログ。頭の奥に、心の裏側に、身体の隅々まで届く軽い音楽のメッセージ。2011年には25周年を迎えます。
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ビッグ・バンドでのギターリストというと、すぐに頭に浮かぶのはカウント・ベーシーオーケストラのフレディ・グリーンだろう。ベニー・グッドマンオーケストラならチャーリー・クリスチャン(特にビッグ・バンドというわけではないが)。「鈴木正男 & SWING TIMES」のギターというと蓮見芳男である。

蓮見芳男が「SWING TIMES」に参加したのは、「SWING TIMES」が結成してから1年後くらいかららしい。
トランペットの故福原 彰(「フランキー堺とシティ・スリーッカーズ」や「原 信夫とシャープス&フラッツ」などに在籍し、後に「夜空のトランペット」などのポップスや歌謡曲のジャンルでも知られた)に教えられて、「SWING TIMES」のライブを聴きに行ったのがきっかけだと言う。
その時にリーダーでクラリネットの鈴木正男から、「(前で吹いていて)いいギターが後ろから聴こえてくると安心する」と言われ、誘われたそうだ。
サウンドの上で、さらに安定したリズムの上で、ビッグ・バンドでのギターが如何に大切かをあらわした一言だと思う。
以来、すでに「鈴木正男 & SWING TIMES」在籍20余年になるという。

もともと「松本 伸とニューパシフィック オーケストラ」などのビッグ・バンドをはじめ、「レイモンド・コンデとゲイ・セプテット」に加わり、ビクターがらみで「誰よりも君を愛す」や「東京ナイトクラブ」などで大ヒットを飛ばした歌手の松尾和子(もともとはジャズ・シンガー)とともに進駐軍キャンプやナイトクラブなどで大活躍していた蓮見芳男である。
オーケストラでの呼吸はもちろん、酸いも甘いも歌心もとことん知り尽くしている。そういう面が表立ってなるほどと思わせるのは、長田明子のヴォーカル・タイムになったときである。
ギター 蓮見芳男、ピアノ 大橋高志

ビッグ・バンドがバックをつけない時は、ピアノ、ギター、ベース、ドラムスに、時にはサックスかトロンボーンが加わり、カルテットかクインテットで長田明子のヴォーカルをフォローする。
このヴォーカルにつけるピアノやギターでのイントロやソロが堪らなくいい。前にも書いたことだが、もともと長田明子のヴォーカルは声量もあり発声も正統的で妙なフェイクもしない、つまり小手先でこね回すような歌ではないだけに、イントロや間奏のソロなども中途半端では太刀打ちできまい。
その点、「SWING TIMES」のメンバーの、大橋高志のピアノはもちろん、蓮見芳男のギターには技巧だけではない旨みのようなものがあって、長田明子の歌を浮き上がらせている。

いつだったか他での、カルテットでのライブで、何気なくついでのように演奏した蓮見芳男フューチャーの「Cocktails For Two」うを聴いた時、つくづく思った。
何だか思わずニヤッとしてしまうような快さがある。テーマのメロディーラインをただなぞっているだけのような時でも‥しみじみといいな、と思えるのである。一体何が違うんだろう。
聴く側にとって、たとえその曲に特別な想いなどでなくても、あるいは初めて聴く曲であっても、無意識のうちに過去の記憶やその時の感情を投影させながら聴いているのに違いない。
だからそういう心の奥に潜むもろもろをかき立ててくれる演奏は、いい演奏ということになるのだろう。そこにはもちろん技術も必要だろうが、技術を超えた何かが大きく作用しているような気がする。
もしかしたら様々な状況の中で何回となくその曲を演奏したプレイヤーの経験から得た、その曲のエッセンスのようなものかも知れない。あるいはそのプレイヤーの人生経験から得たさまざまな想いなどが、その演奏の中に出てくるのかも知れない。

これは「SWING TIMES」ではないが、あるビッグバンドのライブを聴きに行った。
ゲストのヴォーカル・コーナーになって、4リズムのカルテットのバックでバラードを歌っていて間奏になった時、若手のトロンボーンがすっくと立ってアドリブ・ソロをとった。
それは見事なソロだった。客の拍手も一段と大きかった。が、どこか不満が残った。それは、このトロンボーン・プレイヤーはこの曲をよく知らないのではないかと思ったのである。
つまり彼はコードだけで吹いているのに違いない、と勝手に思ったのである。もちろんそれはそれでいいのだろうが、もともとのオリジナル曲の素晴らしいメロディーの持っている思いを生かしながらのソロにしたらもっと良かった、と勝手に思った次第である。
そしてジャズには、とくにスタンダードナンバー化した曲には、ファンのそういう思いの側面がきっとあるに違いないと改めて思った。

前述の、聴く側の心の奥に潜むもろもろをかき立ててくれる演奏、というのはそういうことなのである。
蓮見芳男に限らず、「SWING TIMES」にはクラリネットの鈴木正男を始め、そんな味わい深いベテランがそれぞれのセクションに何人もいて興味深い。
これからも、そんな「SWING TIMES」の秘蔵とも言うべき味のあるプレイヤーを、折りをみて一人づつ紹介していきたいと思う。

いつぞや2ビートの絶妙さについて、じっくりと蓮見芳男が話してくれたことがあった。
実はワルツもそうらしいのだが、2ビートにも絶妙なニュアンスがあって難しいものらしい。
昔はダンスホールやナイトクラブなど、踊る環境がたくさんあったから、2ビートを散々やらされた。だからその呼吸のような絶妙なニュアンスをいつの間にか身につけていったが、今は相当のプレイヤーでもそこまでは分かっているプレイヤーは少ない、と言っていた。
こちらはプレイヤーではないから、単に話だけで終わってしまったが、若いプレイヤーが聞いたらずい分参考になったろうにと思ったものである。

その蓮見芳男が昨年大病をした。今も治療をしながら演奏活動を続けているが、早く元気になって素晴らしい演奏を支える絶妙なカッティングを、そしてあのハートに届く音色を、フレーズを縦横無尽に奏でて大いに楽しませて欲しい。
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【2010/11/22 11:06】 | メンバー
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ライブの楽しみは、いつものレパートリーをいつものように心地よく聴かせてもらうことはもちろんだが、意外な曲が聴けたり、意外な演奏が聴けたり、そうあることではないが時には一流のプロがトチッタリすることに出会えることなどにもある。
(個人的には、プロが間違えたりすると、今日はいい時に来た、とほくそえんだりするのだが‥)
そこがコンサートなどと違うところで、ライブの面白いところだろう。

「鈴木正男 & SWING TIMES」の定期ライブが10月27日(水)、いつもの南青山MANDALAであった。この日はいくつかのサプライズがあった。
まず第一に、ライブのスタート前にプログラムをみると、1セットの9番目に「Drum Boogie」とある。「SWING TIMES」では聴いたことの無いナンバーである。
(はゝ~、このことだな‥)と思い当たるふしがあった。何日か前に、リーダーの鈴木正男が「今度、面白い曲をやるから━」と言っていた。どうやら密かに何かを書いているらしい素振りだった。そうだ、これに違いない!と思いつつ本番の演奏を楽しみにすることにした。
ヴォーカル長田明子

「Drum Boogie」といえば、まずはジーン・クルーパである。が、この「Drum Boogie」を日本で有名にしたのは、誰あろう故ジョージ川口(2003年没)だろう。
彼流にアレンジした「Drum Boogie」は「原 信夫とシャープス&フラッツ」とのコンビでの売り物で、満場の喝采を浴びていた。そういえばジョージ川口が亡くなってからは、「Drum Boogie」を聴かなくなった。

和製ジーン・クルーパの八木秀樹の火を噴くようなドラムスもよかった。鈴木直樹のアルトも、菊池 宏のトランペットも、ビッグバンド華やかなりし頃を彷彿とさせる演奏だった。「SWING TIMES」の初演、ネタおろしとしては大成功である。
噺家でもネタおろしに立ち会えるチャンスなどというのはそうあることではない。そういう意味からも、この日のお客さんは幸運だったと言えよう。
とはいえそんな風に考え楽しんでいる人など、一人もいないと思うが━。
そんなことを思いつつ古い資料の中から、ジーン・クルーパの「Drum Boogie」を演奏している映像を引っ張り出して聴いてみた。こちらはかすれそうな映像だが演奏はもっと派手だ。
そういえばジョージ川口もジーン・クルーパに憧れてドラマーになったというだけあって、まさに華やかだった。ビッグバンドの、ジャズの華だった。
「SWING TIMES」の「Drum Boogie」も、これからもレパートリーとして大いに楽しませてくれることと思う。

休憩が終わって第2セットの頭が「Danny Boy」だった。
これも今までの「SWING TIMES」では聴かれなかったナンバーである。大体普段我々が聴く「Danny Boy」は、小編成でのテナーなどのフューチャーリングで聴くことが多い。大きな編成で聴くにしても、ストリングス(弦楽器)が加わったムード音楽としてである。
ビッグバンド・アレンジの「Danny Boy」というのも珍しい。ということもないのだが、この殆どベニー・グッドマン一辺倒で来た「SWING TIMES」でやることが珍しいのである。

そういえば、やはり鈴木正男がこんなことを言っていたことがある。
「ベニー・グッドマンに限らず、昔のいい曲を、スイート系の楽しい曲を掘り起こしてやりたいね!」
それがもしホントだとすれば、これは実にいいことである。「SWING TIMES」の演奏会はさらに厚く奥行きの深いものになって、ビッグバンドの、スイングの楽しさを味合わせてくれると思う。
そのはじまりが「Drum Boogie」であり、「Danny Boy」かも知れない。次に何が出てくるか、大いに楽しみだ。

それからデューク・エリントンのナンバー「Prelude To Kiss」。
これも「SWING TIMES」では珍しいナンバーといえよう。エリントン独特のアンサンブルとアルトサックスの吹きまわし━そのアルトは鈴木直樹。この手のエリントンものを今までに鈴木直樹で聴く機会もなかったから、興味深かった。なかなかよかった。さすがである。
アルト鈴木直樹

来年、結成25周年を迎える「鈴木正男 & SWING TIMES」だが、さらに面白くなりそうだ。幅も広がって、ますます楽しくなる。期待して欲しい。

今回のプログラム━
第1部
1 Let’s Dance
2 Don’t Be That Way
3 When You’re Smiling
4 Mostly Mozart
5 St. Louis Blues
6 I Should You Care(vo)
7 Autumn Serenade(vo)
8 I Thought About You(vo)
9 Drum Boogie
10 Memories Of You(orchestra arrange)
11 Stealin’ Apples
第2部
1 Danny Boy
2 Johnson Rag
3 I Knew Why
4 Moonlight Serenade
5 In The Mood
6 When Lights Are Low(vo)
7 My Romance(vo)
8 Oh Gee! Oh Joy!(vo)
9 Well Get It
10 Prelude To Kiss
11 Sing, Sing, Sing
12 Memories Of You
13 One O’clock Jump
メンバーは━
<トランペット>鈴木正晃、菊池 宏、岸 義和、城谷雄策
<トロンボーン>小林 稔、吉池健二郎、大門陽子
<サックス>鈴木孝二、鈴木直樹、田辺信男、唐木洋介、大堀 博
<ピアノ>大橋高志、<ギター>蓮見芳男、<ベース>ジャンボ小野、<ドラムス>八木秀樹

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【2010/11/02 17:40】 | SWING TIMES
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