「鈴木正男 & SWING TIMES」のCDが、この8月2日に全国一斉に発売になった。
『Let’s Dance! ~MASAO SUZUKI & SWING TIMES~LIVE at MANDALA』

このCDを聴いて、まず驚いたのはレコーディングの状態が、予想を超えてはるかにいいということである。
というのは、これは「鈴木正男 & SWING TIMES」のホームグラウンドである、ライブハウスの南青山MANDALAでのライブの収録なのである。
大体ライブハウスでは、ライブで聴いている分には多少の音響の悪さなどは、むしろ臨場感として許せるが、収録して聴いてみるといたたまれないものが多い。
ライブハウスはスタジオとは違うから、ナマで聴いて満足できるようにしか設計されていない。ましてやビッグバンドとなると、楽器の数も多く、アンサンブルを大事にするから何でもいいというわけにはいかない。
その点、このMANDALAでの収録の『Let’s Dance!』は音がいい。
だからSWING TIMESの絶妙なスイング感を見事にとらえているし、またライブ独特の臨場感に包まれ、何とも言えないいい演奏になっている。
これこそベニー・グッドマンが亡くなったことを契機に、その年の1986年結成以来25年間、ライブハウスのMANDALAとともに一心同体で活動を続けてきた成果と言えよう。
またこれを契機にMANDALAもレーベルを立ち上げ、その第1号という記念CDにもなったのである。
収録曲はベニー・グッドマンをはじめ、グレン・ミラーなどお馴染みのスイング・ナンバーだが、うれしいのは「House Hop」や「Sometimes I’m Happy」などのナンバーが聴けることである。
なかなか聴けそうにない。うれしいことである。
それから最後の16曲めに入っている「Festival And Children」(祭りと子供)は、「鈴木正男 & SWING TIMES」のライブでは時々聴くことができるが、これはリーダー鈴木正男の次兄鈴木章治の遺作ともいえるビッグバンドの作品である。
このCDはその鈴木章治の「Festival And Children」の初めての収録盤でもある。

まさに「鈴木正男 & SWING TIMES」ならではのアルバムといえよう。
ある意味日本のスイング史上に残るアルバムと言ったら、いささかオーバーだろうか。
1) Let’s Dance
2) On A Clear Day
3) Anything For You
4) House Hop
5) Sometimes I’m Happy
6) How Deep Is The Ocean (vo)
7) Everything I Love (vo)
8) I Thought About You (vo)
9) Anvil Chorus
10) I Know Why
11) American Patrol
12) Moonlight Serenade
13) In The Mood
14) St. Louise Blues
15) You Made Me Love You
16) Festival And Children
リーダー・クラリネット 鈴木正男
Co-リーダー・ヴォーカル 長田明子
トランペット 鈴木正晃、岸義和、菊池成浩、牧原正洋
トロンボーン 内田光昭、小林 稔、吉池健二郎
サックス 鈴木孝二、田辺信男、唐木洋介、鈴木直樹、大堀博士
ピアノ 大橋髙志 ギター 佐久間 和 ベース 小野照彦 ドラムス 山下暢彦
Special Thanks. 渡部 洪
『Let’s Dance!━MASAO SUZUKI & SWING TIMES “LIVE at MANDALA”』
MAND-001 定価2,500円
Let’s Dance (Muscrat Rumble)
※CDと違う収録日のオープニングの「Let's Dance」と2曲目の「Muscrat Rumble」を続けて。
House Hop
※CDと同じ収録日の同曲。音質はカメラ・マイクからの収録ですので、CDとは全く違います。
Sometimes I’m Happy
※CDと同じ収録日の同曲。音質はカメラ・マイクからの収録ですので、CDとは全く違います。
『Let’s Dance! ~MASAO SUZUKI & SWING TIMES~LIVE at MANDALA』

このCDを聴いて、まず驚いたのはレコーディングの状態が、予想を超えてはるかにいいということである。
というのは、これは「鈴木正男 & SWING TIMES」のホームグラウンドである、ライブハウスの南青山MANDALAでのライブの収録なのである。
大体ライブハウスでは、ライブで聴いている分には多少の音響の悪さなどは、むしろ臨場感として許せるが、収録して聴いてみるといたたまれないものが多い。
ライブハウスはスタジオとは違うから、ナマで聴いて満足できるようにしか設計されていない。ましてやビッグバンドとなると、楽器の数も多く、アンサンブルを大事にするから何でもいいというわけにはいかない。
その点、このMANDALAでの収録の『Let’s Dance!』は音がいい。
だからSWING TIMESの絶妙なスイング感を見事にとらえているし、またライブ独特の臨場感に包まれ、何とも言えないいい演奏になっている。
これこそベニー・グッドマンが亡くなったことを契機に、その年の1986年結成以来25年間、ライブハウスのMANDALAとともに一心同体で活動を続けてきた成果と言えよう。
またこれを契機にMANDALAもレーベルを立ち上げ、その第1号という記念CDにもなったのである。
収録曲はベニー・グッドマンをはじめ、グレン・ミラーなどお馴染みのスイング・ナンバーだが、うれしいのは「House Hop」や「Sometimes I’m Happy」などのナンバーが聴けることである。
なかなか聴けそうにない。うれしいことである。
それから最後の16曲めに入っている「Festival And Children」(祭りと子供)は、「鈴木正男 & SWING TIMES」のライブでは時々聴くことができるが、これはリーダー鈴木正男の次兄鈴木章治の遺作ともいえるビッグバンドの作品である。
このCDはその鈴木章治の「Festival And Children」の初めての収録盤でもある。

まさに「鈴木正男 & SWING TIMES」ならではのアルバムといえよう。
ある意味日本のスイング史上に残るアルバムと言ったら、いささかオーバーだろうか。
1) Let’s Dance
2) On A Clear Day
3) Anything For You
4) House Hop
5) Sometimes I’m Happy
6) How Deep Is The Ocean (vo)
7) Everything I Love (vo)
8) I Thought About You (vo)
9) Anvil Chorus
10) I Know Why
11) American Patrol
12) Moonlight Serenade
13) In The Mood
14) St. Louise Blues
15) You Made Me Love You
16) Festival And Children
リーダー・クラリネット 鈴木正男
Co-リーダー・ヴォーカル 長田明子
トランペット 鈴木正晃、岸義和、菊池成浩、牧原正洋
トロンボーン 内田光昭、小林 稔、吉池健二郎
サックス 鈴木孝二、田辺信男、唐木洋介、鈴木直樹、大堀博士
ピアノ 大橋髙志 ギター 佐久間 和 ベース 小野照彦 ドラムス 山下暢彦
Special Thanks. 渡部 洪
『Let’s Dance!━MASAO SUZUKI & SWING TIMES “LIVE at MANDALA”』
MAND-001 定価2,500円
Let’s Dance (Muscrat Rumble)
※CDと違う収録日のオープニングの「Let's Dance」と2曲目の「Muscrat Rumble」を続けて。
House Hop
※CDと同じ収録日の同曲。音質はカメラ・マイクからの収録ですので、CDとは全く違います。
Sometimes I’m Happy
※CDと同じ収録日の同曲。音質はカメラ・マイクからの収録ですので、CDとは全く違います。
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歳をとるのも満更悪くない‥と時々思うことがある。
文章や絵画、あるいは映画や音楽などしみじみといいな、と思えることにふと気がついた時など、ついほくそえんでしまう。
ずい分前になるが、夜の10時ごろ、仕事の合間に一休みしようと2~3日前に預かった長田明子の『A TIME FOR LOVE』のテスト盤を聴き始めた。が、すぐにCDを止め、仕事の途中だったコンピュータを落とし、ソファのクッションを整え、グラスを用意して改めて聴き始めた。
ミディアム・テムポのエディ・ヒギンズ(pf)のイントロ(4小節)につづいて、抑えぎみに歌う長田明子のスイング感が快い。
リチャード・ロジャース(曲)とロレンツ・ハート(詞)の名曲「Where Or When」。このナンバーに妙な媚やシナはいらない。真っ直ぐにこのメロディの美しさを‥彼女ならではの良さがこのナンバーに凝縮されているような気がする。
タイトルは次の「A Time For Love」になってはいるが、この「Where Or When」でもいいのではと思わせるオープニング・ナンバーである。
(それにしてもエディ・ヒギンズのピアノ、いいなぁ!)
『A TIME FOR LOVE=EDDIE HIGGINS TRIO with AKIKO OSADA 2』。
長田明子が名ピアニスト エディ・ヒギンズと共にレコーディングした3枚のCDのうちの2枚目(2002年)である。他の2枚『MY ROMANCE』(2001年)と『WINTER MOON』(2006年)は昨年紹介した。
メンバーはエディ・ヒギンズトリオ(ベース ジェイ・レオンハート、ドラムス ジョー・アシオーネ=『MY ROMANCE』にも参加)に、ベテランのトランペット ドン・シックラーと、SWING TIMESのリーダー鈴木正男のクラリネットが何曲かづつ参加している。

このトランペットのドン・シックラーがいい。
「Cry Me A River」の自然な吹き回しが聴いてるものの感情に沿ってうっすらと色づき、聴き入ってしまった。長田明子の歌もやはり妙な雰囲気を出さない歌い方が、むしろ官能的でさえある。
「Willow Weep For Me」にも同じことが言えて、とてもいいコンビネーションである。
「Memories Of You」は、永年一緒にやっている鈴木正男のクラリネットが、やはり余計な音は使わないシンプルさが、長田の歌と共に情感の豊かさを伝えてくる。
永年二人の演奏に立会い聴いているが、やはりこんなしっくりとくる演奏は無かったと思う。と言うくらい良い。
「As Long As Live」にも鈴木正男のクラリネットが加わっているが、こちらも飾り気の無いスイング感が心地いい。
もう一つ特筆しておくと、ファッツ・ウォーラーの「Ain’t Miss Behavin’」(ドン・シックラー参加)。こういう軽妙なナンバーはいいなぁ。長田明子の得意とする世界だろう。
それから先ほどの「Where Or When」について書いていてふと、リチャード・ロジャースとロレンツ・ハートのコンビのナンバーをもっと聴いてみたいと思った。「Blue Moon」、「My Funny Valentine」、「Bewitched」‥他に何を歌っていただろう‥「I Didn’t Know What Time It Was」なんてどうだろう‥
2009年8月31日。エディ・ヒギンズはまるで伝道者のように、我々にジャズの大きな包容力を、安らぎを、そして楽しむ術を教えてくれたような気がする。たくさんのCDを残して━
そんな中の3枚が、昨年から紹介してきた長田明子とのものである。我々は身近なミュージシャン、長田明子を通して、彼の音楽の楽しみのさらなる大きさを知った。
できれば長田明子との作品も、望むべくも無いがもっと残しておいて欲しかった。長田明子のもっと違った世界が楽しめたかもしれない。
エディ・ヒギンズもライナー・ノーツの中で言っている━
『私の50年以上のキャリアの中で、ビリー・ホリディ、アニタ・オディ、ジャック・ティーガーデン、ジョー・ウィリアム、ジョニー・ハートマン、メル・トーメ、アーネスティナ・アンダーソンといった多くの偉大なるジャズ・シンガーと一緒に仕事ができると言う、楽しみがありました。
いつからか、その素晴らしいシンガーと一緒にプレイさせて貰うことが、私の楽しみのひとつになりました。
アキコ・オサダと2回目の録音でもある今回のCDで、まさにその「楽しみ」がひとつ増えたようです。(後略)』(『A TIME FOR LOVE』ライナー・ノーツより)
長田明子の歌を通して、しみじみとした味わいの楽しみを教えてくれた偉大なピアニスト、 エディ・ヒギンズに感謝したい。
『A TIME FOR LOVE=EDDIE HIGGINS TRIO with AKIKO OSADA 2』
01 Where Or When
02 A Time For Love
03 Cry Me A River
04 Memories Of You
05 The Shining Sea
06 Willow Weep For Me
07 Between The Devil And The Deep Blue Sea
08 The Man I Love
09 As Long As I ve
10 I Wish You Love
11 Ain’t Misbehavin’
12 Stairway To Stars
13 Dream A Little Dream Of Me
14 A Child Is Born
メンバー
長田明子 (vo)
Eddie Higgins (pf)
Jay Leonhart (b)
Joe Ascione (ds)
Don Sickler (tp)
鈴木正男 (cla)
※エディ・ヒギンズとの長田明子のCD、第一作目『MY ROMANCE』、第二作目『A TIME FOR LOVE』、第三作目『WINTER MOON』ともに、多少在庫があるそうです。
このブログにてお問合せ、あるいはお申し込みいただければ手配をいたします。
文章や絵画、あるいは映画や音楽などしみじみといいな、と思えることにふと気がついた時など、ついほくそえんでしまう。
ずい分前になるが、夜の10時ごろ、仕事の合間に一休みしようと2~3日前に預かった長田明子の『A TIME FOR LOVE』のテスト盤を聴き始めた。が、すぐにCDを止め、仕事の途中だったコンピュータを落とし、ソファのクッションを整え、グラスを用意して改めて聴き始めた。
ミディアム・テムポのエディ・ヒギンズ(pf)のイントロ(4小節)につづいて、抑えぎみに歌う長田明子のスイング感が快い。
リチャード・ロジャース(曲)とロレンツ・ハート(詞)の名曲「Where Or When」。このナンバーに妙な媚やシナはいらない。真っ直ぐにこのメロディの美しさを‥彼女ならではの良さがこのナンバーに凝縮されているような気がする。
タイトルは次の「A Time For Love」になってはいるが、この「Where Or When」でもいいのではと思わせるオープニング・ナンバーである。
(それにしてもエディ・ヒギンズのピアノ、いいなぁ!)
『A TIME FOR LOVE=EDDIE HIGGINS TRIO with AKIKO OSADA 2』。
長田明子が名ピアニスト エディ・ヒギンズと共にレコーディングした3枚のCDのうちの2枚目(2002年)である。他の2枚『MY ROMANCE』(2001年)と『WINTER MOON』(2006年)は昨年紹介した。
メンバーはエディ・ヒギンズトリオ(ベース ジェイ・レオンハート、ドラムス ジョー・アシオーネ=『MY ROMANCE』にも参加)に、ベテランのトランペット ドン・シックラーと、SWING TIMESのリーダー鈴木正男のクラリネットが何曲かづつ参加している。

このトランペットのドン・シックラーがいい。
「Cry Me A River」の自然な吹き回しが聴いてるものの感情に沿ってうっすらと色づき、聴き入ってしまった。長田明子の歌もやはり妙な雰囲気を出さない歌い方が、むしろ官能的でさえある。
「Willow Weep For Me」にも同じことが言えて、とてもいいコンビネーションである。
「Memories Of You」は、永年一緒にやっている鈴木正男のクラリネットが、やはり余計な音は使わないシンプルさが、長田の歌と共に情感の豊かさを伝えてくる。
永年二人の演奏に立会い聴いているが、やはりこんなしっくりとくる演奏は無かったと思う。と言うくらい良い。
「As Long As Live」にも鈴木正男のクラリネットが加わっているが、こちらも飾り気の無いスイング感が心地いい。
もう一つ特筆しておくと、ファッツ・ウォーラーの「Ain’t Miss Behavin’」(ドン・シックラー参加)。こういう軽妙なナンバーはいいなぁ。長田明子の得意とする世界だろう。
それから先ほどの「Where Or When」について書いていてふと、リチャード・ロジャースとロレンツ・ハートのコンビのナンバーをもっと聴いてみたいと思った。「Blue Moon」、「My Funny Valentine」、「Bewitched」‥他に何を歌っていただろう‥「I Didn’t Know What Time It Was」なんてどうだろう‥
2009年8月31日。エディ・ヒギンズはまるで伝道者のように、我々にジャズの大きな包容力を、安らぎを、そして楽しむ術を教えてくれたような気がする。たくさんのCDを残して━
そんな中の3枚が、昨年から紹介してきた長田明子とのものである。我々は身近なミュージシャン、長田明子を通して、彼の音楽の楽しみのさらなる大きさを知った。
できれば長田明子との作品も、望むべくも無いがもっと残しておいて欲しかった。長田明子のもっと違った世界が楽しめたかもしれない。
エディ・ヒギンズもライナー・ノーツの中で言っている━
『私の50年以上のキャリアの中で、ビリー・ホリディ、アニタ・オディ、ジャック・ティーガーデン、ジョー・ウィリアム、ジョニー・ハートマン、メル・トーメ、アーネスティナ・アンダーソンといった多くの偉大なるジャズ・シンガーと一緒に仕事ができると言う、楽しみがありました。
いつからか、その素晴らしいシンガーと一緒にプレイさせて貰うことが、私の楽しみのひとつになりました。
アキコ・オサダと2回目の録音でもある今回のCDで、まさにその「楽しみ」がひとつ増えたようです。(後略)』(『A TIME FOR LOVE』ライナー・ノーツより)
長田明子の歌を通して、しみじみとした味わいの楽しみを教えてくれた偉大なピアニスト、 エディ・ヒギンズに感謝したい。
『A TIME FOR LOVE=EDDIE HIGGINS TRIO with AKIKO OSADA 2』
01 Where Or When
02 A Time For Love
03 Cry Me A River
04 Memories Of You
05 The Shining Sea
06 Willow Weep For Me
07 Between The Devil And The Deep Blue Sea
08 The Man I Love
09 As Long As I ve
10 I Wish You Love
11 Ain’t Misbehavin’
12 Stairway To Stars
13 Dream A Little Dream Of Me
14 A Child Is Born
メンバー
長田明子 (vo)
Eddie Higgins (pf)
Jay Leonhart (b)
Joe Ascione (ds)
Don Sickler (tp)
鈴木正男 (cla)
※エディ・ヒギンズとの長田明子のCD、第一作目『MY ROMANCE』、第二作目『A TIME FOR LOVE』、第三作目『WINTER MOON』ともに、多少在庫があるそうです。
このブログにてお問合せ、あるいはお申し込みいただければ手配をいたします。
すっかり秋になった。
不思議なもので暑くてうんざりしているときは食傷気味でなかなかそんな気も起きなかったが、秋めいてきた途端にライブでもCDでも、その気になってくる。今年は少々遅くなった。
前回、「夏を惜しみすぎると、秋に遅れます。」と紹介した、「鈴木正男 & SWING TIMES」のCo-Leaderでありヴォーカリストの長田明子CD「WINTER MOON」に続いて、「MY ROMANCE」を紹介しよう。まさにちょうど良い季節になった。
前回もお話したが、長田明子はすでに3枚アルバムをリリースしているが、前回紹介した「WINTER MOON」は一番後(2006年)で、今回の「MY ROMANCE」が最初(2001年)である。間に「A TIME FOR LOVE」(2002年)があるが、それはまた後日紹介することにする。

1曲目の「Bewitched」(魅惑されて)が流れ始めて、それにしてもうまいなぁ!と改めて聴き入ってしまった。
ライナーノーツで評論家の瀬川昌久氏も書いている。
ジャズは、そのアーティストによって千差万別のスタイルがあり、その個性や特色の違いがあるからこそ、それをききわける楽しみや面白さが生まれてくる。(中略)
非常にストレートに素直に歌う歌手もあれば、個性的なスタイルを強調してアピールする歌手もいる。個性をもつことは悪いことではないが、そこに説得力がなければ、単なる「個人的な癖」に終わってしまう。(中略)
日本人歌手の唄をきく度に、その歌い方の個性と説得力が調和しているかどうかが、気にかかる。(中略)としたうえで━
長田明子のアルバムを受けとって、①の「ビウイッチド」をきき始めた途端、彼女がこのレコーディングまで、満を持して、長い経験をつんできた努力が、まさに正解だった、と強く感ぜられた。音楽大学オペラ科で、声楽を専門的に受講して以来30年の間に、彼女が習得した数々の音楽とボーカルの体験が、このアルバム13曲の中に凝縮されて、長田明子ならではの優れた歌唱力が光り輝いている。━と言い、また━
最近きいたボーカル・アルバムの中で、これほど凡ゆる条件が理想的に整って制作された例は他にないと思った。━とも書いている。(2000/10/15)
1曲目の「Bewitched」をはじめ、「Autumn In New York」、「Someone To Watch Over Me」、さらにタイトルの「My Romance」など、誰もがよく知るスロー・バラードの味わいを、詞や曲のうまみをさらに掘り下げて教えてもらったような気がする。
それにどうしてこんな風にうたえるんだろう、と改めて不思議に思う。いつの間にか彼女の空気の中にすっぽりと入り込んで、じっとしている自分がそこにいる。

かといってスロー・バラードばかりでなく、スインギーなナンバーも独特のスイング感が何とも言えず快い。
特にデューク・エリントンの「Just Squeeze Me」(詞 リー・ゲインズ)は楽しめる。ピアノトリオのバックなのに、何だかオーケストラをバックに歌っているかのような不思議な抑揚とダイナミックさを感じる。
そう、前回の「WINTER MOON」の時にも書いたが、この長だ明子のCD3作はピアノの巨匠エディ・ヒギンズがバックにいる。
今回の「MY ROMANCE」はベースとドラムスとのトリオだが、このトリオがまた良く、長田明子の歌を、ムードを引き立て楽しませてくれる。何ともいえない、絶妙なコンビネーションである。
エディ・ヒギンズのピアノにひかれ、どうしてもとお願いしたという長田明子のレコーディング・ディレクターとしてのセンスのよさの表れでもあろう。
1, Bewitched(魅惑されて)
2. Autumn In New York(ニューヨークの秋)
3. East Of The Sun (And West Of The Moon)
4. I’ll Be Around
5. Close Your Eyes
6. If Someday Comes Ever Again
7. Sposin’
8. We’ll Be Together Again
9. Someone To Watch Over Me
10.Just Squeeze Me (But Don’t Tease Me)
11.My Romance
12.What Are You Doing The Rest Of Your Life?
13.While We7re Young
AKIKO OSADA (vo)
EDDIE HIGGINS (pf)
MICHAEL MOORE (b)
JOE ASCIONE (ds)
ビッグ・バンドでの長田明子もいい。が、エディ・ヒギンズ・トリオでの長田明子には滲み出るペーソスがある。一人静かにそっと浸ってほしい。
お問い合わせ、またご注文はこのブログでも受け付けている。
rednow@jazzland.jpまでご連絡いただければ━
不思議なもので暑くてうんざりしているときは食傷気味でなかなかそんな気も起きなかったが、秋めいてきた途端にライブでもCDでも、その気になってくる。今年は少々遅くなった。
前回、「夏を惜しみすぎると、秋に遅れます。」と紹介した、「鈴木正男 & SWING TIMES」のCo-Leaderでありヴォーカリストの長田明子CD「WINTER MOON」に続いて、「MY ROMANCE」を紹介しよう。まさにちょうど良い季節になった。
前回もお話したが、長田明子はすでに3枚アルバムをリリースしているが、前回紹介した「WINTER MOON」は一番後(2006年)で、今回の「MY ROMANCE」が最初(2001年)である。間に「A TIME FOR LOVE」(2002年)があるが、それはまた後日紹介することにする。

1曲目の「Bewitched」(魅惑されて)が流れ始めて、それにしてもうまいなぁ!と改めて聴き入ってしまった。
ライナーノーツで評論家の瀬川昌久氏も書いている。
ジャズは、そのアーティストによって千差万別のスタイルがあり、その個性や特色の違いがあるからこそ、それをききわける楽しみや面白さが生まれてくる。(中略)
非常にストレートに素直に歌う歌手もあれば、個性的なスタイルを強調してアピールする歌手もいる。個性をもつことは悪いことではないが、そこに説得力がなければ、単なる「個人的な癖」に終わってしまう。(中略)
日本人歌手の唄をきく度に、その歌い方の個性と説得力が調和しているかどうかが、気にかかる。(中略)としたうえで━
長田明子のアルバムを受けとって、①の「ビウイッチド」をきき始めた途端、彼女がこのレコーディングまで、満を持して、長い経験をつんできた努力が、まさに正解だった、と強く感ぜられた。音楽大学オペラ科で、声楽を専門的に受講して以来30年の間に、彼女が習得した数々の音楽とボーカルの体験が、このアルバム13曲の中に凝縮されて、長田明子ならではの優れた歌唱力が光り輝いている。━と言い、また━
最近きいたボーカル・アルバムの中で、これほど凡ゆる条件が理想的に整って制作された例は他にないと思った。━とも書いている。(2000/10/15)
1曲目の「Bewitched」をはじめ、「Autumn In New York」、「Someone To Watch Over Me」、さらにタイトルの「My Romance」など、誰もがよく知るスロー・バラードの味わいを、詞や曲のうまみをさらに掘り下げて教えてもらったような気がする。
それにどうしてこんな風にうたえるんだろう、と改めて不思議に思う。いつの間にか彼女の空気の中にすっぽりと入り込んで、じっとしている自分がそこにいる。

かといってスロー・バラードばかりでなく、スインギーなナンバーも独特のスイング感が何とも言えず快い。
特にデューク・エリントンの「Just Squeeze Me」(詞 リー・ゲインズ)は楽しめる。ピアノトリオのバックなのに、何だかオーケストラをバックに歌っているかのような不思議な抑揚とダイナミックさを感じる。
そう、前回の「WINTER MOON」の時にも書いたが、この長だ明子のCD3作はピアノの巨匠エディ・ヒギンズがバックにいる。
今回の「MY ROMANCE」はベースとドラムスとのトリオだが、このトリオがまた良く、長田明子の歌を、ムードを引き立て楽しませてくれる。何ともいえない、絶妙なコンビネーションである。
エディ・ヒギンズのピアノにひかれ、どうしてもとお願いしたという長田明子のレコーディング・ディレクターとしてのセンスのよさの表れでもあろう。
1, Bewitched(魅惑されて)
2. Autumn In New York(ニューヨークの秋)
3. East Of The Sun (And West Of The Moon)
4. I’ll Be Around
5. Close Your Eyes
6. If Someday Comes Ever Again
7. Sposin’
8. We’ll Be Together Again
9. Someone To Watch Over Me
10.Just Squeeze Me (But Don’t Tease Me)
11.My Romance
12.What Are You Doing The Rest Of Your Life?
13.While We7re Young
AKIKO OSADA (vo)
EDDIE HIGGINS (pf)
MICHAEL MOORE (b)
JOE ASCIONE (ds)
ビッグ・バンドでの長田明子もいい。が、エディ・ヒギンズ・トリオでの長田明子には滲み出るペーソスがある。一人静かにそっと浸ってほしい。
お問い合わせ、またご注文はこのブログでも受け付けている。
rednow@jazzland.jpまでご連絡いただければ━
何十年前かの、化粧品会社のヘッドラインをつい想い出してしまった。
前稿で約束をした、当ブログ主「鈴木正男 & SWING TIMES」のCo-Leaderであり、ヴォーカリストの長田明子のCDについて書こうと思い、CDを聴き出してふと想い出したフレーズである。
長田明子はすでに3枚のCDをリリースしている。
「MY ROMANCE」(2001年)、「A TIME FOR LOVE」(2002年)、「WINTER MOON」(2006年)。そして注目すべきはそのいずれのCDにも、名ピアニスト エディ・ヒギンズがバックにいるということ。
いわばAKIKO OSADA with EDDY HIGGINSシリーズということである。この酸いも甘いも噛み分ける大ベテランのエディ・ヒギンズだからこそ、長田明子の噛みしめながら歌い味わう良さを引き出し、楽しませてくれているのだと思う。
(「MY ROMANCE」と「A TIME FOR LOVE」はトリオ。「WINTER MOON」はギターとのデュオ)
今回はまず「WINTER MOON」からご紹介しよう。この百何十年振りかの猛暑日連続のさ中に「WINTER MOON」もないだろうが、前述のように、夏を惜しみすぎると‥ではないが、じっくりといいヴォーカルを味わって欲しい。

今年の夏は異常な暑さで、9月に入ってもまだとんでもない暑さで、そんな中で「WINTER MOON」を聴いた。
1曲目の「Left Alone」のヒギンズのイントロが流れ、長田明子のよく通る落ち着いた声での━Where’s the love that’s made to fill my heart? …との歌いだしが耳に入ってきた途端、冒頭のフレーズを想い出した。
それほど彼女の歌は、暑さに押しやられていた秋の味わい深さをそっと引き寄せてくれた。(そうだよ、我々にはこういう楽しみがあったんだ。暑さにうんざりばかりしてられない‥うっかりしていた。)
「Stompin’ At The Savoy」もそう。スイングのお馴染みのナンバーとして、ほとんどがインストルメンタルで聴くことが多いが…そうか、こんな風にして味会うこともできるんだと、新しい発見があった。
そういえばこのアルバムを聴いていて、新しい発見というか新しい味わいを教えてもらったという想いをもったナンバーが幾つかあった。
それはもしかしたら、彼女のオリジナルのメロディーを、曲想を大切に歌う歌唱法にあるのではないだろうか。
巧みに歌うヴォーカリストでも、この人はオリジナルの曲をちゃんと知っているんだろうか、と思わせるような‥誰かのフェイクを、アドリブをとってつけたように歌い込んだりするのは、その誰かの歌を元に憶えて歌っているからだろう。
そんな初歩的なことは別にして、長田明子の歌にはオリジナルの曲の、決して軽佻浮薄なジャズっぽさなどをおっかけない堂々とした歌心があるように思う。

長田明子は東京声楽専門学校(現昭和音楽大学)の本科、オペラ科に在学し、ソプラノの砂原美智子とアルトの川崎静子に師事した。
1971年から’85年までキティ・レコード制作部に勤務し、小椋 佳や上田正樹ら多くのアーティストのレコーディング・ディレクターをつとめた。
1986年、ベニー・グッドマンの死を機に、クラリネットの鈴木正男と共同でビッグ・バンド「SWING TIMES」を結成。(以下はプロフィールを参照)
クラシックを勉強し、多くのアーティストの活動をじっくり眺めた上でのヴォーカルである。
「WINTER MOON」の全曲目は━
1. Left Alone 2.Stompin’ At The Savoy 3.More Than You Know 4.Summer Song 5.I Love You Porgy 6.Poor Butterfly 7.How Deep Is The Ocean 8.Old Devil Moon 9.Can’t Help Lovin’ Dat Man 10.I’m Beginning To See The Light 11.All This And Heaven Too 12.Get Out Of Town 13.Winter Moon 14.Young And Foolish
またパーソナルは━
EDDIE HIGGINS(pf), JOE COHN(gui.)
是非一度お聴きいただきたい。
まだまだ、9月になったというのにいつ暑さが衰えるか予想もつかない。秋の豊かさを、楽しみを告げるともいえる、長田明子の「WINTER MOON」である。
お問い合わせ、またご注文はこのブログでも受け付けている。
rednow@jazzland.jpまでご連絡いただければ━
前稿で約束をした、当ブログ主「鈴木正男 & SWING TIMES」のCo-Leaderであり、ヴォーカリストの長田明子のCDについて書こうと思い、CDを聴き出してふと想い出したフレーズである。
長田明子はすでに3枚のCDをリリースしている。
「MY ROMANCE」(2001年)、「A TIME FOR LOVE」(2002年)、「WINTER MOON」(2006年)。そして注目すべきはそのいずれのCDにも、名ピアニスト エディ・ヒギンズがバックにいるということ。
いわばAKIKO OSADA with EDDY HIGGINSシリーズということである。この酸いも甘いも噛み分ける大ベテランのエディ・ヒギンズだからこそ、長田明子の噛みしめながら歌い味わう良さを引き出し、楽しませてくれているのだと思う。
(「MY ROMANCE」と「A TIME FOR LOVE」はトリオ。「WINTER MOON」はギターとのデュオ)
今回はまず「WINTER MOON」からご紹介しよう。この百何十年振りかの猛暑日連続のさ中に「WINTER MOON」もないだろうが、前述のように、夏を惜しみすぎると‥ではないが、じっくりといいヴォーカルを味わって欲しい。

今年の夏は異常な暑さで、9月に入ってもまだとんでもない暑さで、そんな中で「WINTER MOON」を聴いた。
1曲目の「Left Alone」のヒギンズのイントロが流れ、長田明子のよく通る落ち着いた声での━Where’s the love that’s made to fill my heart? …との歌いだしが耳に入ってきた途端、冒頭のフレーズを想い出した。
それほど彼女の歌は、暑さに押しやられていた秋の味わい深さをそっと引き寄せてくれた。(そうだよ、我々にはこういう楽しみがあったんだ。暑さにうんざりばかりしてられない‥うっかりしていた。)
「Stompin’ At The Savoy」もそう。スイングのお馴染みのナンバーとして、ほとんどがインストルメンタルで聴くことが多いが…そうか、こんな風にして味会うこともできるんだと、新しい発見があった。
そういえばこのアルバムを聴いていて、新しい発見というか新しい味わいを教えてもらったという想いをもったナンバーが幾つかあった。
それはもしかしたら、彼女のオリジナルのメロディーを、曲想を大切に歌う歌唱法にあるのではないだろうか。
巧みに歌うヴォーカリストでも、この人はオリジナルの曲をちゃんと知っているんだろうか、と思わせるような‥誰かのフェイクを、アドリブをとってつけたように歌い込んだりするのは、その誰かの歌を元に憶えて歌っているからだろう。
そんな初歩的なことは別にして、長田明子の歌にはオリジナルの曲の、決して軽佻浮薄なジャズっぽさなどをおっかけない堂々とした歌心があるように思う。

長田明子は東京声楽専門学校(現昭和音楽大学)の本科、オペラ科に在学し、ソプラノの砂原美智子とアルトの川崎静子に師事した。
1971年から’85年までキティ・レコード制作部に勤務し、小椋 佳や上田正樹ら多くのアーティストのレコーディング・ディレクターをつとめた。
1986年、ベニー・グッドマンの死を機に、クラリネットの鈴木正男と共同でビッグ・バンド「SWING TIMES」を結成。(以下はプロフィールを参照)
クラシックを勉強し、多くのアーティストの活動をじっくり眺めた上でのヴォーカルである。
「WINTER MOON」の全曲目は━
1. Left Alone 2.Stompin’ At The Savoy 3.More Than You Know 4.Summer Song 5.I Love You Porgy 6.Poor Butterfly 7.How Deep Is The Ocean 8.Old Devil Moon 9.Can’t Help Lovin’ Dat Man 10.I’m Beginning To See The Light 11.All This And Heaven Too 12.Get Out Of Town 13.Winter Moon 14.Young And Foolish
またパーソナルは━
EDDIE HIGGINS(pf), JOE COHN(gui.)
是非一度お聴きいただきたい。
まだまだ、9月になったというのにいつ暑さが衰えるか予想もつかない。秋の豊かさを、楽しみを告げるともいえる、長田明子の「WINTER MOON」である。
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rednow@jazzland.jpまでご連絡いただければ━
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